ガラス瓶に手紙を入れて

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zoom RSS 一阿の 「心柱」T

<<   作成日時 : 2013/07/16 07:00   >>

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神戸、雪の御所町の近くに「宝地院」と言う浄土宗のお寺があります。先代の浩安和尚は飲兵衛の名物和尚でした。佐藤春夫は雑誌「キング」に小説「前途展く」を載せましたが、その中で浩安和尚を主人公龍彦に仕立てて、彼の青年時代の物語を書きました。「キング」の最終号です。昭和57年のことでした。

キングはご存知の通り、戦前日本出版史上初めて100万部を超えた国民的大衆誌です。講談社が発行してゐました。和尚はいつも法話の中で佐藤春夫と堀口大学の友情を語り、話しが佳境に入ると涙を流すのでした。(今の世にこれほどの友情は無い。)

因みに雪の御所は平安末期平清盛の館があった所。「宝地院」は平頼盛(清盛の弟)の山荘跡で高倉上皇も入御遊ばされました。弘安2年(1279年)安徳天皇没後100年も経って、源氏がその菩提を弔ったのでした。菅原道真の祟りを怖れた藤原氏が天満宮を建立したやうなものです。ある時和尚は私を自室に招き広い床の間に掛けてある佐藤春夫の軸を見せ、「隣に何とか堀口大学の軸を掛けたい。そして此処を友情の間にしたい。」と言うのでした。

私は葉山の海軍兵学校の先輩矢嶋さん(73期)に堀口すみれ子さんとのコンタクトを頼みました。矢嶋さんは一号生徒の時は伍長で優秀な成績でしたが、戦後は井上成美(しげよし)提督のやうに、世の中との縁を絶って生涯畳屋をして暮らされました。葉山の殆どの畳は矢嶋畳店が入れたことになります。勿論堀口邸の畳も替へました。

堀口大学は矢嶋さんの人柄に惚れ親しく付き合うやうになります。私は彼の店の玄関に堀口大学自筆の短冊が掛かってゐるのを見て不思議に思ひ聞いたところ彼は訥々と堀口家との行き来を語り上記のことを知りました。今、目の前に「定本・佐藤春夫全集・第25巻・月報」があります。これには堀口大学のお嬢さん、すみれ子さん(詩人)の「友情の形見草」と言う、とても美しい文章が載ってゐますので一部紹介します。

「父の書斎に続く居間の、父の席のまわりには、ご縁の深かった方々、晶子・鉄幹・春夫・達治(三好・ブログ註)の書幅がなげしや柱のあちこちに掛かっています。『きよく/かがやかに/たかく/ただひとり/なんじ/夕つづのごとく』(夕つづ=宵の明星・ブログ註)春夫先生の少年期の詩を染めた、自筆のこの短冊を父は大層気に入っていました。

・・・・これはすでに最上のものだ。驚くべき早熟だ。(詩は別才なり)という、古人の語を欺かないとわれ等は知ると同時に詩人春夫の天分の豊かさをまのあたり見る思いがする。若き日の春夫を(希有の才人、しかも本質的な意味での才人)と評した広津和郎も同じ思いでこれを言ったであろう。」・・・と絶賛しています。・・・きっとなにかの折に、春夫先生にお願いして揮毫していただいたのでしょう。・・・

春夫先生の短冊の柱のもとに、私は、閑雅なたたずまいで談笑している先生と父の大きなパネルを置いて、二人の半世紀以上にもわたる友情をおまつりしています。写真の二人は、えもいわれぬよい表情をしています。家にあるパネルの中にも、書籍や資料やなにかで目にする写真の中にも、こんなに春夫先生のくつろいだお顔はめったにみられません。

このパネルがこの部屋にあると、二人のニュアンスが写真の中から流れ出て、時を越え、昭和28年のその日のままに、父の部屋が温かいものになるのです。1999年3月、御用邸に静養中の天皇皇后両陛下と紀宮様のお三方がまだそのままになっている父の書斎を見学にいらっしゃいました。短冊とパネルをごらんになって、皇后様は「まあ、いいお顔、佐藤春夫先生ですね。わたくしは一度お会いしたことがあります。祝婚のお歌を詠んで下さいましたのね。」と天皇陛下をふりむかれ、次に私にむけて「お父さまとは?」とたずねられるのでした。

待っていましたとばかり、春夫先生と父は年も同じで、十八歳の年から春夫先生がお亡くなりになった七十四歳までの、五十余年の間、一点のくもりもない仲らいだったこと、パネルの中の灰皿は、春夫先生の筆で染められていて、父が染めた同じ型のものが、先生のお宅にあること。父が詩を書かなくなった時期、先生は、心配なさって、ひそかに先生の奥様が信仰していらした、おがむ先生に「堀口が翻訳ばかりに精を出していないで、詩も書くように」とおがんでいただいたことがあった」ということを、春夫先生が亡くなられたあとに、そのおがむ先生から直接伺って、涙を流して、ありがたい友だったと、あらためて大切な人に先立たれた悲しみが増す様子だったこと。そして二人の仲を象 徴する、春夫先生の中篇小説「永く相おもふ」によく語られている、森 鴎外と与謝野鉄幹ゆかりの「二顆の陶印」にまつわる話などなど、えんえんとご説明したのでした。

訥弁の私の一言一句に耳をかたむけて聞いてくださった両陛下は、 「いいお話をありがとう。」と写真の二人にかたりかけるようにおっしゃるのでした。友情などというものは、一方通行では、続かないものですから、父がどれほど慕い敬っていても、そう永く続くわけもなく、先生も、父の詩的人生のありかたちを尊いものとして認めていらしたからこそ、公私にわたって長いおつき合いができたのだと思います。

この二人の友情を、現代の神話だといって、折々の講話に綯(な)い交ぜて、道を説いておられたお坊さんがいらっしゃいました。 実は、この方には、一度もお会いしたことはなかったのですが、両陛下がお渡りになって、席のぬくもりもまだ消えない五月に、父の部屋を訪ねて下さるはずの約束になっていました。その方は、春夫先生の中篇小説「前途展く」の歴戦の青年士官、古塚龍彦のモデルだった人です。・ ・ ・」

すみれ子さんのことばはまだ続きますが、一旦ここでとめます。さて私は浩安和尚とお会い頂ける旨の電話をすみれ子さんから頂いて早速手紙をしたためました。喉頭の腫瘍のため電話での話は既にだめでした。彼は涙を流して喜びその手紙を枕の下に敷いて安らかに亡くなりました。

この和尚に私は大変大事なことを教えてもらいまし た。1995年のあの阪神淡路大震災の時のことです。宝地院も寺域の墓石は倒れ、本堂も殆ど全壊に近い状態で傾いていました。その年の暮れ神戸を訪れた私は未だ柱だけの状態でしたが、本堂が元の姿に立ち上がっているのを見て驚きました。和尚は私に言いました。

「本堂は全部壊して、建て直すほうが費用も安く簡単やったんやがナ、それでは先祖に申し訳がない。ここは安徳天皇の菩提寺や。殆ど倒れてしもうた本堂を引き起こすのにどないするか知っとるか?それはナア。「心柱」に綱を掛けて引き起こすんや。「どの建物にも『心柱』ちゅうもんがある。」

「建物の中心や」「これを探して引き起こしたら、たいていのものは立ち直 るんや。」「ちょっと金はかかったがナ。」 和尚はそういって笑うのでした。昨年は和尚の13回忌でしたが、「心柱」の話は何故か忘れられません。

さて、急に話は変わりますが、来る21日は参議院選挙です。自民党の安倍政権でやっと東北大震災の復興も緒につき、経済も明るい兆しを見せ始めました。なによりも「憲法」改正の序の舞の摺り足を桧の舞台に差し出したことは大切です。しかし公明党はじめ殆どの党がこれに反対です。

そして、飽きもせず、あのデフレ脱却の道さえ分からずうろうろしていた一年前(民主党政治)の空理空論をいまだに絶叫しています。聞いて見ると結局「生命あってのものだね論。」にすぎんじゃないか、とさえ思はれます。「国はどうなってもいいのかね」と演者に質問したい。

あの「クイーンエリザベス号」の船内で如何に着飾って豪華な食事をしていても、氷山にぶつかればば元も子もないのです。クイーンエリザベスは正に国家です。国家は氷山を避けねばならんのです。民主党政治の時代を思うと慄然とします。安倍さんになってやっと氷山との衝突寸前に舵をきって進路を安全に戻しました。乗客を満載している船は国家そのものです。

だから万一氷山に触れても乗客が充分脱出しおおせるだけの強固な船体にしなければなりません。外交、防衛、治安です。そして国家の「心柱」は「憲法」です。昭和20年8月15日 阪神淡路大震災や東北大震災よりもっとひどい打撃を受 けた「我が国家」を引き起こし立ち直らせるためには、日本人が日本人の心でちゃんとした日本語で書いた「憲法」がどうしても要るのです。それは「心柱」なのですから。


(つづく)

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