ガラス瓶に手紙を入れて

アクセスカウンタ

zoom RSS 一阿の 「年始の言葉」 8

<<   作成日時 : 2012/01/16 07:57   >>

ナイス ブログ気持玉 22 / トラックバック 1 / コメント 0

詩人 那珂太郎 (福田海軍中尉) は「鎮魂歌」で歴程賞を授与されますが、平成7年7月その日の毎日新聞夕刊に次のやうな記事が出てゐます。「詩人 草野心平を中心に設立された詩のグループ 「歴程」の設定する第33回藤村記念歴程の授賞式がこの程飯田橋で行はれた。

今回の授賞は那珂太郎氏だったが、これは戦後50年を経た人間の運命を主題にした力作であり、授賞式での彼の発言は現代詩の現況にも触れて意義深いものとなった。「那珂氏は言葉の『かたち』と『ひびき』について繊細鋭敏な感受性をもち、多くの傑作を生んで来たが、ここ十数年来新しい実験を重ね、特に鎮魂歌は人間の運命について考へる未踏の深く重い新境地を開いた。」といふのが、選考委員による受賞の理由だ。」

・・・「当の那珂氏は、昭和40年に、詩集『音楽』を出した時以来『詩に主題は無い。書くこと自体が主題である。』と考へてゐた。時の世界は言葉の響きと音による映像的なものであり、あえて主題といへば日本語そのものであった。」と語りだした。そして代表作「音楽」 から30年近く経て 「いま過去の作品と違ふ印象を与へるとすれば、それは主題が向ふからやって来たといふことだらう。明瞭な意味の下で書いた。

・・・芸術もまた言葉の先端を 模索して・・特殊なところに入り込んでしまった。・・・言語形式をもう一度原点に立ち戻そうとした結果かもしれない。」と述べた。・・・ そしてその主題とは「若い時代に触れた人たちの人生であり、いまはこの世にゐない人がそそのかし、詩集を書かせた。そのうえ死者よりも自分自身の魂を鎮め るものだった。」と参列者に深い感銘を与えた。」 以上が新聞の記事です。

私は詩については暗い。しかし那珂教官から招待状をいただいて恐る恐る出席した。そしてこの耳ではっきりと聞いたのだ。「この詩は亡くなった私の戦友や敵の艦(ふね)にみずから身を挺してゆかれた特別攻撃隊の方々の霊魂が、わたくしに筆を採らせたのかも知れません。」 私の中に感銘の閃光が走りました。戦友や特別攻撃隊は詩の世界では「死者」と表現するのかも知れません。或いは記者が小さい時から反軍の思想を叩きこまれ たから単に「死者」と表現したのかも知れません。ともあれ、「那珂太郎」 は 「なかったろう」 から来ていると言はれる程日本語の音韻の美しさのみを追求して(虚無のやさしい保留=清岡卓行)ゐました。

彼がはっきりとテーマを持って詩を作るのは刮目 すべきことだつたのです。これは本当の日本の国の詩であり、日本人の詩です。ドイツにはドイツのフランスにはフランスのイギリスにはイギリスの詩がありま すヘッセやリルケやバイロンは我々が若かった頃心踊らせて愛読した詩人です。今の進歩的知識人達は戦前は、軍国主義で偏った教育を受けて侵略へひた走ったと、見てきたやうな嘘をつきますが、決してそうではありません。

確かに教練は厳しかった。しかし若者は自由に西欧のあらゆる書物を読んでゐました。今よりもずっと自由でした。私がいつも言ふやうに静かで豊かで温かでした。那珂太郎さんの言葉、「生まれ育った日本とその言葉」を国民は愛して ゐました。そして自分の国に対する誇りを持ってゐました。その上で諸外国の文化を咀嚼して行きました。ところが、戦後少しでも祖国防衛を語らうものなら軍 国主義と喚き散らし神国日本と言う首相はきちがい扱ひで、マスコミ総掛かりの引きずり下ろしを敢行します。「昔陸軍今総評」と言ふ言葉がありました。

「昔陸軍今マスコミ」です。現在の方がずっと偏ってゐて不自由なのです。敗戦後「平和を愛する諸国民の公平と信義」に頼るしか自国を護ることが出来なく なった我が国は、詩や文学もワールドスタンダードで、いろいろの国の文化を混ぜ合わせた雑炊のやうな観念で浮遊してゐます。一歩引いて庶民には思想の自由 があるとしませう。しかし国家を率いて行く政治家はどうか。これが一番ひどい。

戦後レジームからの脱却を高らかに謳ったのは、安倍晋三総理だけで、中には日本人の心の支柱をなす皇室に対し「早く座らんから我々も座れない」と不平をぶちまける不遜な、「国家公安委員長(中井洽)」がゐたほどです。今度はこんな男が何の目論見か二元外交で北朝鮮へ単独行動をしました。しっかりした国家観も持たぬ者共が国家を牛耳るひどい国になりました。「鎮魂歌」は完全な旧仮名で書かれた詩です。話し言葉で書かれてゐますが、日本人にとってこころ休まる音韻の一点の狂いもない世界です。

先月開かれた萩原朔太郎 展の図録にご高齢(90才)を押して巻頭の辞を述べられ「例へば、日没が日の終りを祝福する様な、又は、末期の目にほのかに永遠が姿を現はす様なそんな一 瞬が、確実に、天恵の様にあるのだらう。それが朔太郎の詩だ」と書かれました。ご自身目は殆ど光を失ってをられるのです。詩人那珂太郎は鎮魂歌のあと8年 後畢生の大作「現代能 始皇帝」を刊行します。

コロス《限りなき権力への欲はなほ滄波と共に渺々/永遠の命への望みは白霧の如く果しなし/なほ鎮め得ぬ皇帝の霊は/こがる る夢の/こがるる夢の 海のかなた/虹の桟(きざはし) のぼりゆき/虹の桟のぼりゆき/大虚の雲に紛れつつ/宇宙の塵となりにけり/宇宙の塵とぞなりにける/ 始皇帝の亡霊、橋掛りから幕に入る。徐福の後裔、一人舞台に残り、コロスの声が、虚空に響き、木霊してゆく。 これが最後の一節です。


をはり


*☆*゚ ゜゚*☆*☆*゚゜゚*☆*

今後もこのブログをご支持下さる方は
人気ブログランキングFC2ブログランキング のクリックをお願い致します。

※姉妹サイト【日本を】『日本解体法案』反対請願.com【守ろう】では、様々な活動を行っております。

何卒皆さまの温かいご協力をよろしくお願い申し上げます。

テーマ

注目テーマ 一覧


月別リンク

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!
ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。
→ログインへ
気持玉数 : 22
ナイス ナイス ナイス ナイス ナイス ナイス ナイス ナイス ナイス ナイス
なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー)
ガッツ(がんばれ!) ガッツ(がんばれ!) ガッツ(がんばれ!)
面白い 面白い
驚いた
かわいい

トラックバック(1件)

タイトル (本文) ブログ名/日時
日本の満州建国は合法的
ヘレン・ミアーズ氏は、満州における日本の行動は、これ以上の合法的な行為はないと断言している。 ...続きを見る
風林火山
2012/01/16 23:42

トラックバック用URL help


自分のブログにトラックバック記事作成(会員用) help

タイトル
本 文
一阿の 「年始の言葉」 8 ガラス瓶に手紙を入れて/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる