仙道の「自治基本条例に反対する市民の会 設立大会」(報告)10/10

「自治基本条例という妖怪が徘徊」
(高崎経済大学教授 八木秀次氏の資料より転載)

地方自治は身近なようで遠い存在だ。理由は簡単。国政は政局を含めて詳細に報道されるが、地方政治は報道が少なく、有権者も関心を持ち難いからだ。
多くの人が無関心の中、極く一部の人達に地方政治が壟断される仕組みが、これまた、極く一部の人達によって作られようとしている。各地で制定されている自治基本条例のことだ。既に100ほどの自治体で制定され、制定を検討している自治体も多い。
制定が必要とされる理由に「その都市ならではのまちづくりのルールを決める。」が挙げられている。が奇妙なことに内容は何処でも殆ど同じ。後発の条例は既に制定している自治体の条例の都市名変えただけのものだ。


自治労主導で金太郎アメに

条例の内容が同じなのには理由が有る。制定を推進しているのが自治労8(全日本自治団体労働組合)で、策定を指導しているのも自治労系の研究者だからだ。「2009-10年度 自治労地域・自治体政策集」は、「市民(住民)を中心に据えた「自治基本条例」を制定します」と明記し、群馬県高崎市では職員組合の現職書記長が条例策定のプロジェクトチームのメンバーとなり、策定を主導していたことが明らかになっている。(2月18日付産経新聞)。
自治基本条例は「まちの憲法」即ち最高規範性を有する条例と自称する。これに反する過去の条例は書き換えられ、自治体の政策は将来に亙ってその内容に縛られるということだ。
自ら最高規範性を有すると規定し、事実上の拘束力を持ってしまう。

最高規範性を帯びる革命的内容

最高規範性にはもう一つ、自治体が国の法律、政策、制度を解釈する際の最高規準という意味がある。「法律に優越する」と説く論者(神原 勝「自治基本条例の理論と方法」)もいる。国会で誘致された自衛隊基地も条例の内容次第で撤去出来るということだ。神奈川県大和市の条例には、[市長及び市議会はーー(在日米軍)厚木基地の移転が実現するよう努めるものとする。」との規定が有る。

このような"革命的“な条例の制定を考え出したのは、菅直人前首相が師と仰ぐ政治学者の松下圭一氏(法政大学名誉教授)だ。同氏が平成6年に北海道の講演で提唱し、同13年、北海ニセコ町で制定されたのが最初とされる。

自治基本条例の制定は最近の動きに見えるが、自治労のシンクタンク、地方自治総合研究所(旧・自治労総研)の所長で条例制定の理論的指導者の一人、辻山幸宣氏によれば、共に革新市政だった頃の神奈川県の川崎市や逗子市の「都市憲章案」が基だと言う。自治基本条例はその焼き直しということだ。

では自治基本条例にはどのような内容が盛られているのか。
1.「市民との協働」ないし「市民参加」
2.常設型住民投票制度の導入
3.「子供の権利」の保障
で、いずれも自治労の「政策集」に明記されている。
1は自治体の政策策定に「市民」の参加や参画を不可欠の要件ということだ。問題は「市民」の実態だが、極く普通の市民は日々の生活に忙しく、市政への関心も低い。その結果、所謂「プロ市民」(左翼職業活動家)が浮上し、「市民」を称することになる。「市民」は国籍も問わない。要するに、首長を擁立したり、議会で多数派を形成出来ない政治勢力外国人団体がNPO(非営利組織)や市民団体を名乗って直接、政策決定に関与する回路を作るということだ。
2の常設型住民投票制度の導入にも同じ色彩がある。「プロ市民」が自治体運営の主導権を握る為に、議会の権限を縮減させようということだ。住民投票という直接民主主義的手法を、「市民」の自治体運営への「抵抗権=革命権」の日常化と位置づける論者もいる。
 
外国人に投票権を認める自治体も多い。自治基本条例では既に外国人参政権は認められているのだ。そして住民投票の結果を首長と議会は「尊重しなければならない。」と規定する。
 
3については、昨年10月に制定された東京都新宿区の条例でも「子供は、社会の一員として自らの意見を表明する権利を有する」とする。問題のある、「子供の権利条例」の根拠になる規定だ。自治基本条例の制定はゴールではない。これを根拠に関連条例が制定されることになるのだ。

このような条例が作られてしまえば、誰が首長や議員になっても同じで、権限を大幅に制約されることになる。東京都板橋区では区長は就任の際に「この条例を遵守する宣誓をし、署名、捺印しなければならないことが構想されている。

制定が検討されている自治体では制定の是非を、既に制定されている自治体では改廃の是非を、選挙の争点にしてもらいたい。   (産経新聞記事 2011.3.8)

(了)


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