蒼海の 「私と『孫子』 2」

 秋山参謀は、海軍大学校教官を二度勤めているが、常に学生に対して兵理研究には「多くの戦史と各種の兵書をよく研究するしかない」と教え、自らも古今東西の兵書、戦史を克明に読みよくそれらを咀聯し、その上にたって作戦の立案を行っていた。

 理論派と目される秋山参謀が、「是故 百勝百勝、非善之善者也、不戦而 屈人之兵、善之善者也」の『孫子』の屈敵主義に共感を覚えていたとの文章を読むと、孫子の屈敵主義の心髄は那辺にあるのか知りたいとの欲望が沸き、『孫子』を通読し、『孫子』なるものの全容を眺めてみる必要があるなという朧気な印象を頭に秘めるようになった。

 その頃、たまたま書店に立ち寄った際、『孫子』の小冊子に巡り会った。浅学非才の身で、兵法に関しても耳学問程度の知識しかない私が、難解な漢文を通読することに若干抵抗があったが、その孫子の小冊子は、各篇各段ごとに原文、和文さらには和訳文が書かれているため、日頃漢文になれ親しむ機会に乏しかった私にとっても、通読することに大きな困難はなかった。

 その後の一二ヶ月は、鞄の中にその小冊子を入れ、暇があると任意の頁をめくり、その頁に書かれている一段について繰り返し読み返し消化に努めた。

 「読書百題意自ずから通ず」の諺ではないが、繰り返し読むうちに、孫子の理念が次第に明らかになり、孫子は単に兵法というよりは、経営面でも利用可能な教典であることに気がつき、以後種々の側面で『孫子』の文言を玩味し、日常の行動の規範として利用し、現在に至っている。

                                  (10/01/06)
(「私と『孫子』」了)


※明日は、瑞雪さまの記事を公開させて頂きます。

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