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zoom RSS 一阿の 「こぼれ話し」 4

<<   作成日時 : 2010/08/30 06:57   >>

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 鎌倉光明寺墓参の帰りには、ご遺族のお宅を弔問する。今も久保のおおらかな笑顔が我々を迎える。前回書いたが、生きていたら、83才だ。この居間は生前のまま保存され、困った時は今でも、枕元に立って指針を告げてくれると奥様はおっしゃる。

 (元住友重機械工業社長久保正大兄のことを話している)ある時「焼き鳥」のご馳走になった。店屋にはない味がしたので、そのことを申し上げると、奥様は「主人が好きだったタレを今も使っております。」「庭でお焼きいたしました。」と答へられた。10年は経っていた。彼は焼き鳥が好きだったのである。時々ふらりと暖簾をくぐる。

「社長、それだけは止めて下さい。」といつも秘書に泣きつかれた。「明正強暖」(戒名として墓石に残ることとなった)と難しいことを言ったが、社員には愛された。

 彼は自分の苦しみを他人には語らなかったが、あのオナーシスとの三年に亘る闘いを回顧して笑い乍ら言った「本当に血の小便がでるよ」「それに、女房まで同じ症状になりよるんだ。」

社運を賭した係争が解決した後で、彼は奥さんに聞く。「何か欲しいものはないか?」返ってきた答は、「お墓を一つ作って下さい。」であった。お身体が弱かったので自分が先にゆくと思っていたのです。と奥様はおっしゃる。その墓に彼の方が先に入ってしまう。

 彼の田浦の最後の病室には「五省」の額が掛かっていた。(就寝の前必ず唱えた兵学校の反省の言葉・1至誠に悖るなかりしか 2言行に恥ずるなかりしか 3気力に欠くるなかりしか 4努力に憾みなかりしか 5不精に亘るなかりしか)「貴様はまだしなければならんことがあるのだから頑張れよ」と私は言った。

彼の身体には既に「死」が跋扈していた。彼は老後「目耕」(目、耳を耕す=悠々自適の作家の生活)の日々を送りたかった。旧制五高時代理科から文科への転科を考えたほど文学には心惹かれていた。奥様は静かに言われた。「始めてこうして主人と二人だけでをれます。」それは彼の最後の部屋であった。彼の人生は殆ど仕事に捧げられた。

 ある時、弔問の部屋に、ご子息とお嬢様がおられた。そこで、思わぬ言葉を聞いて、私は襟を正した。「父は殆ど仕事の為、家におりませんでした。一緒に遊んだ経験はありません。いつも私達が休んでから帰宅しましたし、休みの日も家にいない方が多かったのです。」「でも少しも淋しくなかったし、今から考えるとずーっと一緒に居てくれたような錯覚に襲われます。」「それは、朝学校へ行く時間と父の出社の時間が一緒になると僅かの時間ですが学校まで同行してくれました。それに、ほんの少しの時間ですが、一緒に居る時には心を込めてものを教えてくれました。」

お孫さんは今年大学にはいられた。


(続く)

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